頑張りを水の泡にしない!失格にならないためのトライアスロンルール

トライアスロンも競技なのでただ泳いで走ればよいというものではありません。きちんとルールが決まっています。それもスイム・バイク・ランと3種目分に加えてトライアスロン特有のルールがあるので量も多いです。

この記事で全てのルールについて書くことはできませんが、たくさんあるルールの中で特に知っておいた方がよさそうなルールについてピックアップしてみたいと思います。

基本はJTUのルールブック

国内で行われるトライアスロンは基本的にJTUが発行しているルールブックの内容に従っています。ルールブックはJTUのWebサイトからダウンロードできます。ページ数が多いですがトライアスロンを始めるなら一度は目を通しておくことをオススメします。

ただ、個別の大会ではJTUのルール通りできない部分もあるため、ローカルルールが設定されていることがよくあります。ローカルルールについては大会前の競技説明会で必ず説明されるのでしっかり聞いておきましょう。聞き逃すと失格になったり他の選手の迷惑になります。

ちなみに、JTUは国際トライアスロン連合(ITU)のルールに準拠していますが、ITUのルールは毎年のように改訂されています。とはいえ、大部分のエイジ選手には影響の無いものばかりなので、エリート選手や国際大会に出るのでなければ神経質にフォローする必要はないでしょう。たまにインパクトの大きな変更もある(ウェアのファスナー位置の規定変更など)のですが、そういうときは大抵いろいろな所でアナウンスされるので気づくと思います。

ちなみにアイアンマンに関してはITUとは独立しておりアイアンマン競技規則というものがあります。残念ながら日本語版はありません。

競技全般のルール

大会期間中の言動など

いわゆるスポーツマンシップというやつです。スポーツマンとしてだけでなく、社会人としての節度ある行動や、交通ルールを守ったり大会周辺住民への感謝と配慮を忘れないなど当たり前と言えば当たり前のことですが、とても大切なことなので敢えて書きました。

「そんなこと分かってるよ」と思うかも知れませんが、競技に必死になり余裕がなくなると自分勝手に振る舞ってボランティアの方に暴言を吐いたり、大会に理不尽なクレームを入れる人もたまにいるようです。

先日も台風などの悪条件で大会が中止になった時に、参加料金の返金がないことに対してクレームを入れた選手がいたそうで話題になっていました。参加規約に明記してありますし、大会の準備だけでもコストがかかっているのですから返金を要求するのは酷な話です。こう言う人が増えると次回の大会開催にも影響を与えかねません。

トライアスロンは開催地の自治体や住民の方々の協力がないと開催できません。そういった方々に迷惑を掛けず気持ちよく大会に協力してもらえるような雰囲気を作るためにも、参加する選手一人一人がトライアスリートとして自覚を持って行動しましょう。

個人的援助の禁止

これは応援する人が気をつけるべきことですが、大会主催者から許可を受けた支援以外は禁止となっています。

コーチや応援者が特定の選手に伴走したり拡声器でタイム差を教えたりすることも個人的援助に該当するそうです。普通にタイム差を声がけすることは大丈夫だと思いますが、知り合いの応援に熱を入れすぎないように気をつけたいですね。

また、脱水で倒れたとか怪我をしたとか緊急時の助けは個人的援助にはなりませんので、積極的に助けるようにしたいものです。

また、ドラフティングレース以外では、意図的に他の選手のペースメーカーになることも個人的援助と見なされるそうです。トライアスロンは個人の力だけで頑張るスポーツと言うことをよく頭に入れておきましょう。

レースウェア

前開きウェアと後ロ開ウェア

基本的にはトライアスロン用のウェアを選べば問題ありませんが、2013年からオリンピックディスタンス以下の大会で前開きファスナーが禁止になっています。

それまでは前開きファスナーのウェアは一般的で、暑いときにファスナーを開いて体温調整をしたりしていたのですが、「選手のユニフォーム前部がはだけるのは見苦しい(美しくない)」という理由で前開きファスナーのウェアを禁止するルールができたのです。

国内のオリンピックディスタンス以下のレースはこのルールに従っており、当時は「ウェアを買い換えないとレースに出られないのか!」と心配されました。しかし実際は前ファスナーのウェアでもファスナーを下ろさなければOKというローカルルールを設定し、参加可能としている大会が多いです。前開きのウェアしか持っていない人は注意しましょう。ちなみに、ミドル以上の大会では前開きファスナーでもOKです。

オリンピックディスタンスしか考えないならバックファスナーを選んでおいた方があれこれ迷わずよいかもしれません。

2013 JTU NEWS RELEASEー前空きユニフォームの使用に関するお知らせ

あと、バイクやランで上半身裸はNGです。Tシャツでもよいので必ず何か着る必要があります。

スイムのルール

ウェットスーツの着用

ウェットスーツを着た選手たち

ウェットスーツは体温の維持や体が浮き泳ぐ助けになります。そのため安全面から着用が義務または推奨となっている大会がほとんどです。

日本選手権などエリートの大会では水温が20℃〜24℃以上(距離によって異なる)になると着用禁止となりますが、エイジでは着用禁止となる事はありません。逆に水温が14℃〜22℃以下(部門・距離によって異なる)では着用が義務づけられます。そういう意味でトライアスロンにウェットスーツは必須だと考えてください。

ちなみにウェットスーツはトライアスロン専用のものでなくても参加可能です。リレーではサーフィン用のウェットスーツを借りてきて泳いでいる人をたまに見かけます。ただし、泳ぎにくいのオススメはしませんが・・・。

スイムでの事故防止のために

残念ながら、国内でも毎年何名かの選手がスイムで亡くなられています。トライアスロンで死亡事故というと私の知る限りではスイム以外で聞いたことがありません。それぐらい海で泳ぐというのは危険と隣り合わせだということです。

そのため、しんどい時はブイやコースロープ、フロート類、ボートなどにつかまって休むことが許されています。キツイと感じたときは無理せず休むようにしましょう。但し、ブイなどを掴んで進むことは禁止されています。

バイクのルール

ドラフティングと追い越し

ドラフティング

ドラフティングとは他の選手の後ろについて楽に走るテクニックのことです。上の写真のように選手が密集して走ることになります。ルールブックでは次のように定義されています。

第88条 「ドラフティング」とは、他の競技者又は車両 のドラフトゾーンの中に入って走行する行為をいう。
2 競技者のドラフトゾーンの範囲は、バイクの前輪の最 前部を基点として、後方7m、横幅3m(前輪を中心と して左右それぞれ1.5m)の内側とする。
3 車両ドラフトゾーンの範囲は、車両の最前部の中心を 基点として後方35m、幅5m(左右それぞれ2.5m)の内 側とする。

国内のエイジの大会はほぼ100%ドラフティング禁止です。

ドラフティングについては細かく書くと長くなるのでまた別の記事で紹介したいと思いますが、バイクでは他の選手に近づかないということを頭に叩き込んでおきましょう。ドラフトゾーンに入る(他の選手と並んだり接近する)ことが許されるのは緊急時の安全確保や追い越す時だけです。

ちなみに追い越しは15秒以内に済ませる必要があります。ここでいう追い越しというのは、追い越した選手の前に出て7m以上離れるまでを意味します。7m以上離れる前に加速をやめて併走したり、追い越した選手の前に入るとブロッキングという禁止行為になります。このことから分かるように、ドラフティング禁止レースでは追い越しはかなりの実力差がないと厳しいです。

ドラフティングの有無はバイクタイムへの影響が大きいので、ルール違反の選手がいることは毎回問題になります。意図的にドラフティングすることは論外ですが、現実的な話をすると狭いコースにたくさんの選手が走るような状況になると否応にもドラフティング気味になることがあります。そういう場合でもできるだけ速やかにドラフティングゾーンを出る努力を怠らないようにしましょう。ルール違反でよいタイムが出ても意味無いですからね。

キープレフト

キープレフトとは聞き慣れない方もいると思いますがJTUでは次のように規定されています。

第89条 ドラフティング禁止レースにおいては、「キープ レフト」を守り競技を行うものとする。
2 キープレフトとは路肩あるいは競技コース左端から1 m以内を基準として走行することである。
3 前項の規定にかかわらず、完全交通規制が敷かれ、コ ース幅が十分に広いときは、競技コース幅の左端より 1/3を基準して走行することができる。
4 バイクコースが全面交通規制で、かつ、一方通行など の特別な条件である場合を除き、道路のセンターライン を越えて走行してはならない。

レース中にコースのどこを走るかの基本となるルールなのでしっかり頭に入れておきましょう。ただ、コース左端1m以内というのは結構狭い範囲です。国内の大会ではたいていは交通規制が敷かれているので3番目の項目のイメージでよいケースが多いと思います。

ヘルメット

ヘルメットの着用が必須なのは当然ですが、ヘルメットをいつ着用するかというタイミングもルールで決められています。ヘルメットを着用したり外すのはストラップの着脱も含めて必ずバイクがバイクラックにかかった状態のときに行います。焦ってバイクを先にバイクラックから外さないようにしましょう。

ホイール・DHバー・ハンドルバー

ディスクホイールやDHバーといった機材は大会の状況によって禁止の場合があります。下りでカーブが多いコースだったり海沿いなど強い横風が懸念される大会に参加する時はローカルルールを特にしっかりチェックしましょう。

また、ドラフティングレースに出場する場合はハンドル回りに色々とルールがあります。

まず、DHバーの突き出し量が「前輪のハブ軸より15cm未満」または「左右ブレーキレバーより前に出ててはいけない」と定められており、さらにDHバー先端部は連結しておく必要があります。ドラフティングレースでは集団で落車する確率があがるので、その場合の安全性を確保するためこのようなルールとなっています。あと、ブルホーンハドルも使用禁止となっています。

ランのルール

ランに関しては特別なルールはありませんが、同伴フィニッシュについては禁止している大会もあります。チームメートや家族と同伴フィニッシュしたい場合はよく確認しておきましょう。

トランジションのルール

トランジットエリアの様子

トライアスロンの第4の競技とも言われるのがトラトランジション(種目の切り替え)です。

  • トランジションエリア内ではバイクに乗らない。
  • ウェットスーツなど自分の道具は指定された場所(多くの場合、自分のバイクラックの下)以外に置かない

といったあたりを押さえておけばよいと思います。

ただし、トランジションエリアのレイアウトや、バイクの乗車位置などは大会毎にかなり異なるので事前の説明会や選手要項にはよく目を通しておきましょう。大会によっては道具を全てトランジットバッグに入れなければならない(アイアンマンなど)といったローカルルールが決められていることもあります。

ペナルティー

ルールを違反するとペナルティが科されます。

ペナルティは普通はタイムペナルティです。よくあるのはトランジットエリアにペナルティボックスという場所が設けられ、ペナルティを受けた選手は決められた時間そこでじっとしておくというものです。

多くの場合、ペナルティを受けるのはドラフティングなので注意して走るようにしましょう。

また、コースの周回数を間違えて少なめで終わってしまった場合は失格になります。周回が多いコースではメーターで距離をチェックする・予想終了タイムを計算しておくなどの対策をしておいたほうがよいです。ちなみに多く周回する分には失格になりません。

「周回数なんて間違うの?」と思う方もいるかも知れませんが、4〜5周をこえると疲労もあって覚えるのが大変になってきます。実際、何年か前の大会で1位になった選手がバイクを1周間違えていて失格となったのを見たことがあります。十分速い選手で普通に走っても1位になる実力がある選手だったのでびっくりしました。逆に1位だと比較する相手がいないので間違えやすいかもしれないですね。

以上、最低限知っておいた方がよいルールをまとめてみました。

ドラフティング以外はそれほどわかりにくものはないと思いますが、大会毎のローカルルールをチェックすることもくれぐれも忘れないようにしてくださいね。

ルールを守ってトライアスロンを楽しみましょう。

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